マコという名の女
たもつ


マコという名の女、短いスカートで
呼吸する、女
すっ、とん、
京都、清水の舞台から
飛び降りることもぜずに
さっきから側で
魚の浮き袋が肥大していく病気を
ただ静かに見ている

マコという名の女、「スペシャル」を
「スペソー」と発音する
けれど何がおまえのスペソーであるのか
俺は知らない
スペソーという方向を見ると
それは言葉を発しない

俺はありったけの猥雑な言葉をマコ
という名の女、に浴びせ
ありったけの淫らな格好をマコ
という名の女、にさせ
ているところを想像しこっそりと勃起し
ていないのは
俺が想像していないからだ
マコという名の女、おまえを想像することは
おまえがおまえであることを不可能にする

マコという名の女、特急列車
マコという名の女、週刊ゴングの表紙
マコマコマコマコマコと連呼すると
いったい何回目からコマになるというのか
後頭部に、パコッ、装着、マコ
その右に出るものはいないが
左にいつも置き忘れてしまう

マコ、おまえをマコという女というように
俺の名を呼んでくれ
俺を想像することは
俺が俺であることを不可能にする
俺は誰であるのか、マコ
「ヒラバヤシさん」
そうか
こんにちは、ヒラバヤシです

 



自由詩 マコという名の女 Copyright たもつ 2005-04-17 00:40:20
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