幻影のコンバット
道草次郎

ブナの樹が荒風にもまれている
窓硝子にその小枝をかつかつと擦り付けて

(短針の銃口は2:00をさす)

サイドボードの上の小ぶりの兵隊たちは
突撃の姿勢をとったまま永遠の停滞の中にいる

謐かな夜
もみしだかれる個人的な軸径

(堆積した銀河と砂時計
地層の中のイリジウムと骨片)

仕組まれた時間は
着々と
矩形の部屋の面積を削っていく




自由詩 幻影のコンバット Copyright 道草次郎 2020-10-13 23:00:43
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