道草次郎

なきゃいけないものは
一つもないが
うしないたくないものは
無数にある

どうすればいいんだろう

誰かが
はなをすするたびに
昔から不安になる

自分らしく
というけれど
そうしたら
色んなものが
手のひらから
こぼれてしまいそうなんだ

ぼくの心は
ちっとも成熟していない

二年間毎日のように
テレフォン人生相談を聴いて
大原先生の話に
涙したこともあったけれど
何も変わらない

膝を抱えて
部屋の隅で泣いていた子供のままだ

これが
生きていることか
これが

これが
いきているということか

そうだ
これが生きているということだ
これだけが
ぼくにとって
生きていることなんだ

でっかい空洞が
ぼくの真ん中に
いつの間にか育ったんだ

生きようとか
死のうとか
そういうことは
もう山にでも訊いてくれ

ぼくは
ぼくを消すために
そのために
石ころみたいな旅に出るとおもう



自由詩Copyright 道草次郎 2020-10-12 18:03:47
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