長い夢
塔野夏子

長い夢を見ていたようだ

白い陽が
ハイウェイの彼方へ落ちてゆく
言葉がひとつ ふたつ
淡く発されては消えてゆく

別離の色彩が
こんなにも静かでやさしいことに
少しとまどいながら

長い夢を見ていたのかもしれない

君のいくつかの無造作な覚醒
無邪気な忘却
透明なフィルムになり胸を流れる

ひとつ ふたつ
互いに淡く発する言葉は
まるで遠くから聞こえてくるようだ

別離の色彩は
ただやわらかくにじんでゆく

ああそういえば
景色のどこかに いつも桟橋が見えていた日々だった

長い夢であったならよかった のだろうか

白い陽が
巨きく虚ろな秋の彼方へと
ゆっくりと落ちてゆく




自由詩 長い夢 Copyright 塔野夏子 2020-10-11 11:49:44
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