二行詩
道草次郎

「マルヤマさん」

分際をしると、少しだけ銀河が親しげな顔をするけれど

帳簿を間違えたら、マルヤマさんの不幸が大幅に緩和された。


「耳たぶの裏」

一つか二つ隠し事をしたい。でも年末ジャンボは居間の神棚の上。

隠し事とする自分と隠し事をしない自分、その両方を耳たぶの裏に隠し持ちたい。


「悪夢」

だれか登場してくださいといったら自分が登場した。

ひとしきりダンスを踊った後やっと金縛りから解けて、真っ暗な部屋にひとり居るじぶん。


「謎かけ」

右目に訊いたら何も見なかったと言ったので左目にも訊いた。

月の裏を人類が初めて見たのはつい最近、左目は右目のことは信用できないと取り合ってくれない。



自由詩 二行詩 Copyright 道草次郎 2020-10-08 21:07:01
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