未詩ⅰ
道草次郎

挫けたような空が頭の上にはあって
東雲は炯々と鈍色に耀きつつまったりと流れている

パーカーのフードを頭まで被った男が時間を持て余すように行ったり来たりそれはまるで中年太りの死神

人生が鎖なら今日はどの辺の結節点かシュレーディンガーその生物学的イメージ、シュレーディンガーその猫の明滅する霊媒

DNA鎖を解いて行けばわかること妖精や八百万の神やらが溢れ出すのも時間の問題
そんなものらがそこいらを駆けずり回っていても
現今誰も驚きはしない
この生きてあるということに比べたら全く簡素極まりないことだから

どういう風の吹き回し
右手が左手を勝手にもって少し震えている

まいったな
ところでどうやって歩くのだっけ
挨拶の仕方を忘れかけている
貧乏揺すり、貧乏揺すりだけは控えよう

どこかでは良くなりたくなんかないんだろう
そしたらまた平らな道を歩くだけだ

詩情とはいいものです
とそれが分かったようなここ四月ほど
詩情…あまり見えなかったけれどそれはたしかに救いでした

この平板な言葉のならびに誰もがっかりはしない
いや自分でさえガッカリするかわからない

すべては有難かった事と合掌
今になり思う
とにかく行くのです
ながれるままに川のながれとなるのです

今日から始まるのです
一からはじまるのです
と言いながら
書いてしまうのはやはり詩の悪魔にこう耳打ちされたからか

「詩を喰わせろ」

そうかもしれない
ぼくはもっと詩をたくさん書きたいそして読むだろう

電気やガスや水道の詩を書くだろうか
それとも植物の詩を
たくさんある綺麗な花や木々の詩を
NEXTふぇーず
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自由詩 未詩ⅰ Copyright 道草次郎 2020-10-06 12:37:04
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