月下(改訂)
ひだかたけし
口笛の奏で、目覚めてこの秋夜
澄んで響く何処から
明るい旋律音色のループ
微妙に低く高く震え魅惑の相
聴き入るうちに潮騒磯の香
漂いザワメキ布団が波打つ
扉開いて弓形の白浜
広がり誘い出され満月煌々
⊿〇
気付けば私は白装束
月下の衣は純白に映え
手招きしながら波間に立つ女
反り返る首筋の白く浮き立ち
波飛沫浴び濡れて艶めき激しく痙攣
今にも逝く様に私は堪らず二歩、三歩
身起し進めば沈み込む
白砂はドロリと液状に
戸惑う私に女の高笑い
)まだまだ未練がおありのようで
〇⊿
笑い声は消え
再び口笛の奏で
飄々と木霊するこの秋夜
なお一層澄み渡り