少年の一日
◇レキ
誰もいなくなったようなので
過去を忘れたようなので
身の丈を知ったようなので
少年は心が軽くなりました
少年の目は脆すぎる安心の中そっと開きます
当然にある日常、という名の奇跡
すなわち朝ごはんを食べます
それから出かけて
汗水だらだらたらして
代わりにお金を頂きます
帰ってきたら
一歩間違えば壊れてしまう
心の安寧に水をやります
沢山の囁きが少年を包みます
それは苦しみの中にいた頃の残骸です
今はただぼんやりとそれをききます
少年は寝る前に願います
明日も
誰にも会いませんように
過去を掘り起こされませんように
安心が壊れませんようにと
夢の中で思います
散々な過去をも受け入れてくれる
誰かが訪れてくることを
こんな自分を受け入れながら
誰かを訪れる自分を