高嶺の果実
こたきひろし

高嶺の花は高値なのです
どんなに品が良くて奇麗に咲いていても
貧しい若者には
貧しい若者でなくても
離れた所から眺めるしかありません

そんな場合でも
涎を垂らしたり
唾を飲んだりしても差し支え有りません
それは下品じゃなくて
人間の本質だからです

高貴なご婦人が召使いの男によろめいて
乳房と恥部を晒したりしてしまうのも
人間の本質に根ざしているからでした

官能小説家がいるのですから
官能詩人がいても不思議はないでしょうね

作品に低級も高級もないでしょうよ
低級な読者もいるし
高級な読者もいるんですから

高嶺の果実も
熟してしまえば
いずれ地に堕ちて腐るでしよ
そうなってから
拾っても遅くないのかも知れないですね
そうなってから拾われても です

全ては
人間の本質なんですから

どんなにあらがいても
逃げられません


自由詩 高嶺の果実 Copyright こたきひろし 2020-09-29 06:26:10
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