ことば
こむ

そこにある概念は
紙に書かれた記号
脳に刷り込まれた手続きの
言葉 という不自由なやり方で
びょうびょうと吹く存在の風に
顔を向けて立ち尽くす時
始まりから また始まりに帰り
終わるはずが また始まり
見つめているうちに形を失い
線に戻り 絵になり また意味を失い
回る回る存在の罠の底から
それでも と 斬りつけてくる
ひとつのしわぶき 指から流れる血
ざりざりと切られる肉
火をつけて 燃やしてしまう死
残るのは私と同じ骨 それだけなのに
ただ変化した存在の骨が残っている
それだけなのに
あちら側だとかこちら側などという
コトバに 無理矢理落とし込んで
天空などという ただの宇宙空間に
指を組んで祈るのだ
味も香りも感情もない ただの言説が
やはり 無い と
否定しているにもかかわらず


自由詩 ことば Copyright こむ 2020-09-14 22:47:16
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