ホットのカプチーノ
はだいろ

月曜日の六十万トンの憂鬱さ加減といったら、
俗な中年サラリーマンになったものだよ、
だけどももうすぐ51歳だ、むしろ初老だろうか、ぼくのいなくなった友達よ
または、初めからいなかった友達よ


だから月曜日に夏休みを入れると、
日曜日の憂鬱が軽減されることがわかってよかった
ぼくが健康なのは妻のおかげだろうか、
こんなに痩せているのは、誰のせいだろうか、
今日は朝から優雅なブレックファーストを求めた

恵比寿の窓から緑の隙間に
通り過ぎるスポーツカーを眺める
近所のセレブな若妻たちの意味のなさそうな会合を眺める
それからフェリーニの「アマルコルド」を観た


ぼくの一番好きな映画監督は、フェリーニと答えるけれど、
実は、見ていない作品もたくさんある
どうしてかというと、月並みだけれど、
映画館で見ないと何もわからない人だからだ
こうして、たまたまのタイミングが合えば、
4K修復版に巡り合えるのだ
五十一年目にしてね


東京のスパイスカレーは、
もう東と西の2店にしぼった
新規開拓にいそしんできたけれど、
落ち着けるのと、何度食べても自分が浄化されているような気がするのと、
もうこの2店だけでいい


それから早めにラブホテルに入った
昼間っから缶ビールを飲む幸せ
でもどうして、第三のビールを増税するのか
どうして、庶民から税金を取るのか
安い方を減税して、高い方を増税するべきじゃないのか
ぼくはもうビールなんてこんな時しか飲めないよ



熟女デリで遊んだ
やっぱり娘ができたせいか、若い子にあまり興味がなくなった
熟女と言ってもよくよく考えれば
ぼくよりずっと年下だろう
でもいいのだ、どうせ、フィクションの楽しみなのだ
ママ、ママ、とおっぱいを吸った
いった後はすぐにしらけた
でもそのしらけにももう慣れた

ドトールは8時で店じまいですけどいいですか、
と聞かれて
いいですよ、と答えた
ホットのカプチーノ、身に染みた








自由詩 ホットのカプチーノ Copyright はだいろ 2020-09-14 21:51:47
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