白島真


許されるならば
喜怒哀楽の頁にはさみこんだ
しおりをほどき
薔薇のトゲのように
愛は血まみれの行為であったと
旅立つひとに告げたい

愛は規範をもたない
むくんだ背すじに頬をあてて
はるかな心臓の音を聴いていた
あの日、たしかに
脈動する心の聲を聴いたのだ

街から歌声があふれる
~きみを守りたい~~♪
だが、どうしたら?

翳りゆくものと
ともに在ること
在りつづけること
喜楽の頁のみをとりだし
千年の年月をかけて
あかるい花びらの
しおりをはさみこむ



自由詩Copyright 白島真 2020-09-12 09:11:32
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