空は水色
竜門勇気


この星はきっと
拒絶が動かしているに違いない
どんな言葉を使っても
僕の終わりは動くことがない
ある日はすぐそばにあって
どんな心を持っていても
遠ざけたり近づけたりできない

あの虹をみたかい
星から生える光の角
悪魔に見えるときは
世界は悪魔
天使に見えるとき
うん、残念だけどその時も悪魔かもしれない

駅前のロータリー
公園のベンチ
太陽がないときは震えて
そうでないときは怯えてる
この部屋の中以外に居場所はないって
思い出してるときにだけ
何故か懐かしくなる

拒絶は巨大なゼンマイだ
存在が触れ合うたびに巻き上げられる
そして歯車は凍ってる
ぶっ壊れるために作る圧縮された鉄

駅前のロータリー
公園のベンチ
あったかいベッド
快適な枕
眠る前に目を閉じた時間の中で歩いていく
部屋のドアが開く
あれほど重かったドアが枯れ葉のようにもろく
玄関のドアが開く
あれほど辛かった世界がミルクのように甘い
駅前を目指して歩いていく
瞼の裏はいつでも夜だ
夜を歩いていく

駅前のロータリー
公園のベンチ
アスファルトの上に散らばった小石が
靴底と星の間で音を立てる
知ってるはずの場所だけど
歩いてるこの道以外はほら
世界は悪魔だから
目をそらすと海が見えたりする
拒絶のゼンマイが巻かれる
海も空も青いのに
消して混ざることがない
波が白く砕け雲が白く流れる
せっかくこんな所まで来たのに

こんなに似通っていて
これほど遠くの場所なのに
僕は僕の部屋に帰る
もう全部見たような気持ちになって
結局どこにもいられない
どこでも眠るなんてできやしない



自由詩 空は水色 Copyright 竜門勇気 2020-09-09 10:46:43
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