逆さまの世界
もとこ
何もかもが逆さまの世界に行きたい
そこでの私は美しく賢く話上手で
誰からも愛されるはずだから
全てが今と逆さまの世界に行きたい
だけど夜の鳥がそれを否定する
耳障りな声で鳴いた後に告げる
馬鹿だねお前、良く考えてごらん
引き籠もりが逆さまの世界へ行けば
昼も夜も当てなく彷徨い続けるだけの
肉体を持たぬ惨めな影になるのだよ
汗にまみれて目を覚ました
夜明けは遠いと時計が告げる
どうでも良いよ、朝が訪れても
ここから出ることはないのだから
窓の外に広がる闇の中
耳障りな鳴き声が聞こえた