わたしのおとがする
ゆるこ



わたしのおとがする

ぱきん、と乾いた音を
体の内部で何度も繰り返している

それは再生で、
あるいは破壊で

それはひたすら鳴り続け
透過したわたしの身体を
繰り返し
鈍く光らせる

やがて、その音が細かな振動になり
身体の穴という穴から
わたしがながれてゆく

下水道の、排水口を目指し

それは大量の雨粒のように、
あるいは決壊したダムの濁流のように

一粒も、あますところなくながれてゆく

そしてわたしは
喉がものすごく乾くのだ

からっからに乾いた喉は
声を出すこともできなくなる

からっからな脳みそは
なにも考えられない


わたしのおとがする

ぱきん、ぱきんと
心臓と共に壊れてゆく

わたしのおとは わたしをころす

そうして、僅かな心を
電波の様に駆け巡らせながら
ついにわたしは しんでゆくのだ


自由詩 わたしのおとがする Copyright ゆるこ 2020-09-08 00:48:33
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