CO&2
竜門勇気


左手で何ができるか
考えている
終わらない季節があるのが
どこだったか
どんな街だったか思い出してる

左手でできるのは
右手をつなぐこと
なにか新鮮で見入っていられることが
本当に強いことだったのか

あいつ、死んだって
今朝の電話
うそだろ?いや、殺されたんだって。なんで?知らねえよ、なんでも滅多刺しらしい。
昨日会ったぜ、チキンサンド食ってた。チキンサンド食ってたら、殺されることなんてないのか?
わかってるよ。お前はわかってない、多分これからずっと永久にそのままだ。

たくさんの星は一つもないのと同じだ
あまりにいっぺんに見えるから
光なんてどこにでもあるしな
昨日より少しだけ暗くなってる
新しく生まれる未来は
過去より少し少ない

僕のいきものが生きている
また電話がなる
真夜中2時30分
窓の外が黄色く光ってる
多すぎるんだ星が
光がうるさくて頭が痛い
僕のいきものが話を聞く
あいつ、死んだって
うそだろ?いや、今年のはじめから体調やばかったんだって。なんで?だから病気。
何だったの?しらねえ、死んだんだ。なんで知らねえんだよ。
さあ、どうせお前が殺したんだろ。

左手が何をできるか考える
右手を掴んだりするだろうし
食器棚を引き倒したり、なにか盗んだりするかもしれない
電話を切るときに役に立つ
涙を拭ったりしなきゃいけないし
最後にくぐる窓を開けたりもする右手が
光を遮るようにまぶたを覆うのを邪魔しないように



自由詩 CO&2 Copyright 竜門勇気 2020-09-04 22:39:22
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