サクマ
hayasakaakira
コンクリ
高台の中腹の広場にあるベンチ
街灯の下に嘘臭く おおげさに寒がって
時々よぎる冷たい魂を、ハガネの強さだと無理に決め込む
無関心のテーゼを尊守すべしと
全て全然無意味でいいし
頭上を走る車の振動が
冷たい橋脚に伝わっていた
額をそれに押しつけて貝殻で渚を聴くように胸の中の薄っぺらいカリスマを聴いた
ガラスの破片は透明な茶色
だよ
ねぇ
おい
朝になる前
河原
そしてしがみついた
川に駆け込もうとするのを必死で
鼻が折れそう激しい呼吸
喉を鳴らして血をのむこと
上着が暑く
川の音があまりにチャプチャプ鳴っていて、月が青く夜明け前の土が冷たくて湿っていたので二人は月の下でキス視線なんか交わさない堤防の向こう側にトラックが走った会話なんてしない赤く鉄臭いヒフを徐々に下へくだってデタラメにひどく寒い中ひどく長い間そうして
輸入されて捨てられたミンクが、草むらを走り抜けた
それからわびしい冬の
夜明け前のプール堅い底に寝そべる
ひびわれた青いホースをくわえ白い息を吐くと
たなびく吐息の向こうに先の先まで見通せるふりをした朝日が顔を出しそうで
、、、
つくづく残念だった隣に寝ているこいつに流れる、自分のとは違う血
白く、下書きみたいに足りない表情
共鳴しようとすると無視する冷たい視線
遠ざかる
明け始める
プールの底で指に触れた誰かの落とし物を
いつの日かのスーパーボール
たましいがあったらこんな類でしょう
強くぶつけ、高く上げた
ゆらめく
オレンジの太陽と青くなった月の中間で、ラメ入りのスーパーボールは八百色に光った
それからおまえに言ったはじめてのおはよう
おまえは完全無視
痛い痛い鼻はまだ血がとまらない
が、しかしおまえは全然心配してくれず
鼻だけ持って僕は長く長い長い
道を歩いて
なんだかんだで結局今朝まで君を忘れており
夢に泣かされて起きて
また何も食べずに駅にむかった
そしてまたおはよう
昼なんかマック