インターネットに出会ってなかったら
こたきひろし

本当はね
詩なんてどうでもよかったんだ

だけどね
私は私なりに
どうしても自己表現出来る方法が欲しかったんだ

でもね
私にはこれと言って何も持っていなかった

絵は上手に描けないし
歌は好きでも音痴だったし
運動能力なかったから
コンプレックスしか湧かなかったし

だけどね
私は私なりに自己表現出来る方法が欲しかったんだ
どうしても

私は子供だった頃から
一人でいるのが好きだった
一人であれやこれやと物思いに耽るのが好きだった

だからって
「孤独をひたすら求めていた」
なんて嘘だった
でもね
そういう風に周囲に思われる事がここちよかったんだ

それは正にひねくれた子供だったかも知れない
周囲には少なくともそういう子供に思われていたんだろうな

でもね
その実体は単純に他者とうまく繋がれない
だけだったんだ

厄介な事に家族ともね

だからこそ
私は私なりに自己表現をして
周囲にその存在を認めて貰いたかったんだ

本当はね
詩なんてどうでもいいんだよ

ただ
私には他に武器が見つからなかったんだ

やっと見つけたんだよ
でもね
そんな事誰にでもあるさ

そしてインターネットに出会ったんだ

私は見つけた武器の銃口をインターネットの宇宙に向けて

引き金を引いて引いて
引き続けているんだ
ただ
それだけさ

他に理由なんてないよ
たとえ
あったとしても
自分にはそれが何なのか解らないから



自由詩 インターネットに出会ってなかったら Copyright こたきひろし 2020-08-31 06:48:06
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