残暑にしては
あまりにも酷暑の
八月二十八日午前
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見学会では男の目を見れなかった
女とばかり話して女の見せかけのやわさに縋った
PILOTの油性ボールペンを3回落とす
サエキさんの名刺は1回
分数ができなくて
微かに指は震えた
先生と呼ばれる人の
シーケンス制御の説明が長過ぎると感じた
棒立ちのファルスたち
清流のようなうなじに付随して
○邦画『どん底』より
左卜全演じる風変りなおじいさんの台詞
「この世のなか嘘が悪いとばかりはかぎらねえ、また、まことがいいとばかりもかぎらねえよ」
この台詞のシーンを帰ってきてから10回リピートで観た
三船敏郎の油汗一滴ほどの値打ちが
自分にあるか…
と、強烈なリアリズムに打ちのめされてしまったふりをして
真っ赤なくたびれた太陽を背にしたような気分の嘘を纏って
ただ
いつものように
夕方を凌いでいた
夜半
詩を滾らせるほどの値打ちが自分にあるのかと
ふたたび問うている
そんな 残熱
問うフリでも構わないと
もはや
半分ほど毀れて
__歯と歯茎もガタピシ云う
鳩時計が0時を回る
(蟋蟀は地球の内耳で求愛している)
着実に
700分の1歳年を取る
もう一度
約分の
おさらいからだな
(ペンを執る)
天球のどこかで
星がずれた