二月の夜に
Giovanni

子供のころ
ある 二月の夜に
こんな
   ふ
    う
     に
      電
       線
        を
         伝
          っ
           てどこまでも遠くへ行きたい
                       と
                       思
                       っ
                       た
                      し
                     か
                    し
          結

行き着けるのはしょせん高圧線の高さまで    位
そこで それに気付いた僕は




















                 空はどこまでも青く
                 空に心を吸われた
                 白い少年の神話も
                 嘘ではないと思われた

                 一人 寂しくなると
                 公園で横になり
                 透き通る空を眺めた
                 空は 僕みたいな
                 プータローの心も
                 青々と吸ってくれるかな
                 そう思いながら

草むらに横になって僕は僕の四肢が空と一つになる夢を見た

 
 大人になって
 ずいぶんと経った
 ある 二月の夜に
 僕はもう空にも
 地べたにもいないことに
 ふと 気がついた

 僕はどこに立っているのだろう
 僕はどこに行けばいいのだろう
 二月の夜空は寒すぎて
 二月の地面は凍てついて
 帰りたくとも帰れない
 行き場のない僕たちは
 ただ 言葉にならない
 行き場のない言葉を
 あてもなく あてもなく
 紡ぎ続けるばかりだ
 

2007.2.20


自由詩 二月の夜に Copyright Giovanni 2020-08-20 09:49:41
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