sonnet
朧月夜

笹船に灯を乗せて、炎の河に流す、
依り代のない鎮魂の想いはいずこ、
反射的に何を言うのでもなく、
奉げられた言葉を心が飲み込む。

嚇怒のような雨、
嵐は血と涙に変わり、
これは神罰? 悲嘆すらかき消される。
大地が泣き、戦慄いている、暗褐色の空よ。

十字架を振り返る人がいる、笹の葉の小舟よ。
不意に訪れる、弦楽の鼓動、それは美しき緊迫。
幸福のその向こうに、果て無き欲望を目にして。

笹船の灯は消されて、戸惑うばかりの頌歌、
コーラスは一人のものではなかったのに、
神に盗まれたままの絶望のネックレス。暗灰色の風。


自由詩 sonnet Copyright 朧月夜 2020-08-18 08:19:47
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