ある夏の光景
ひだかたけし

光溢れる夏の午後
庭の梅の木が微かに揺れて
三才の僕はその瞬間、
〈じぶんは自分なのだ〉と不意に気付いた
なにものにも替えられ得ない〃この私という存在〃
その認識が僕を稲妻のように打ったのだ

そのとき世界は美しく揺らめき
熱風とともに戯れていた
そのとき世界は静まり返り
優しい無関心に輝いていた


自由詩 ある夏の光景 Copyright ひだかたけし 2020-08-17 20:57:03
notebook Home