抽斗の中のメモのきれはし
道草次郎
コオロギ
ぼくという
幼子がいなくなっても
コオロギたち
しばらくは まだ
地球に
いるのですか
音たち
しずかと思われても
時計の秒針
鈴虫の声
サーキュレーターのかすかなうなり
そうしたもので
夜は
たえず なにか を
もしかしら
日付け変更線 なんかを
キープ
している
服
ごめんなさい 服
あなたに腕をとおすとき
心は ここに在らず
ばかりだった
靴
靴 いつも乱暴につっかけてばかりいた
でも 君は
ぼくをひとりぼっちにしなかった
たまには
歩くよ
裸足で