運命と運命じゃない展開
こたきひろし
暑い
猛烈に暑い
直射日光が路面に照り返し
俺の体は火柱のようになっていた
とても仕事出来る環境になかった
俺は何だか
そこが原爆の落ちた後のヒロシマの街のような
気がした
そんな事を思うのは
そんな妄想に浸るなんて
ふざけている
と
生存者や御霊の皆さんの怒りをかってしまいそうだ
いきなり
舗装された足下の近くに
蝉が一匹
まるで
叩きつけられる様に落ちてきた
自らの全身を叩きつけるように
落ちてきたのかもわからない
その姿は尋常ではない
哭き狂うように
苦しみもがいている
その時
俺が刹那に思ってしまったのは
蝉に生まれなくて
よかった
だった
そしてそれは
原爆の落ちたヒロシマに生まれなくて
よかったに繋がった
八月
盛夏
その日
その時の自分