記憶2
ひだかたけし

欠落はせずに
只々遠く平板になっていくもの
追いかけても追いかけても
追いつけない現実に
後ろ手付いて息を吐く

二度と取り戻せない時間の堆積
記憶は麻痺しながらも
思い出したように不意にまた
夢の映像を展開させる
そこに居るのは他者なのか
それともあくまで他人なのか
意識の舞台で踊る人
抱きしめようとする両手を
するりとかわし逃れいく

(見上げれば盛夏、
熱波の青は揺れに揺れ
白い巨鳥が空を行く
溶解し出す私の意識
暗い影が付きまとい
言葉は未だ掬われず)

欠落はせずに
只々遠く平板になっていくもの
追いかけても追いかけても
追いつけない現実に
後ろ手付いて息を吐く












自由詩 記憶2 Copyright ひだかたけし 2020-08-13 22:48:30
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