木はおどる
木屋 亞万
木はおどる
きみたちは知らない
木の舞うすがたを
木はおどる
風に揺れるなんてもんじゃない
種から芽生えたそのときに
体をブンブンゆするのさ
枝が広がり
葉をのばし
おどりはどんどん
からみあい
もつれあう
流れ星のように
まわりを過ぎゆく
生きものたちには
目もくれず
木はただおどる
木はおどる
木には木の
時のながれがあるらしい
知っているものは
はじめから
教わる前から
知っている
木はおどる
知らないだろう
木はおどる
知っているんだ
ほんとうは
きみも木も
他から見れば
おどるおどるおどる