Self-portrait
桂
白紙が僕にとっての鏡
黒いペンで繊細な心模様を描く
色の数より多い言葉の数
筆でいくつかの言葉をつついて
構想と言う名のパレットに乗せる
ブルーでブラックな心境の時
僕はきっと暗い夜空の向こうで始まりつつある青白い夜明けを描くだろう
悲しみや憎しみを乗り越え
新しい一日と出会えるように
自画像を描く時は実物より男前に描くのが相場だから
僕は必ず作品の最後に希望を添える
僕の一生が少しでも端正な顔立ちに見えるように
嗚呼 また赤い情熱がまた僕に傷口が流れ出る自身の血液を描かせる
それこそが生きている証で
親から子へ分けられた命の源だから
体の中を循環する生温かい血液は
先祖から子孫に渡された聖火
それを手にしたのだから走りださないわけにはいかない
例えそれが途方もない旅の始まりだったとしても
僕はきっとその旅の先々で白紙を広げ
ペンを手に取って 眼前に広がる風景と自分の内に広がる風景を重ねて描くだろう
他の誰の物でもない
僕自身の心模様をこの世界に残すために