界の未知
ひだかたけし

暗闇に蒼白い河原の
小石夥しく静まり返り
流れ動き澄む川は無音
黒く光る水面の異様
恐るべき氾濫を孕み
奥まった沈黙を保つ

決して終わらない不安は
この沈黙という深い謎に
剥き出し曝された己が魂の
他界への予感と恐怖
その震撼とする体感故か

今宵も満月が何処かで
響きのない轟音を立て
地平線に巨大に昇る
どろんと朱に濡れ澱み
此界を濃密に染め上げて







自由詩 界の未知 Copyright ひだかたけし 2020-08-07 19:47:57
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