夏の練習曲
塔野夏子

清い流れに沿い
鶺鴒せきれいが閃くように飛んで

揺れるねむの花
ねむの花はやさしい花 と
誰かが云った

小さな手が生み出す
鍵盤の響きはたどたどしくても
その無邪気さで
天使の声を紡ぐ

小さな嘆きにも
予期せぬさようならにも
いつかは
なぐさめが優美に降りたって

夏が来ると
ことさらになつかしい帰り道
たどたどしい練習曲が
聴こえる



ピアノの初心者によく使われる「ブルグミュラー25の練習曲」からいくつかの曲タイトルを詩の中に入れています。現在出ている楽譜では、タイトルの訳語が変わっているものもあるようですが、私が習った当時のものをここでは使いました




自由詩 夏の練習曲 Copyright 塔野夏子 2020-08-05 11:09:50
notebook Home
この文書は以下の文書グループに登録されています。
夏について