穢土
あらい

一面の希望が寝返りを売って
転じて興ざめする
傍らの空の花瓶が床に散らばる

合成繊維の解れた藍色
白目を剥いて割れたグラス
ひたひたに吊る炭酸水面上のハナヒラ
変容を遂げた紋白蝶の死

見届けては羽ばたいて
手放すことを赦しては頂けない
天井の染みもリアルに泣いている
クソ畜生の鱗粉


自由詩 穢土 Copyright あらい 2020-08-04 23:52:18
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