戦
星 ゆり
ほんとうは、たたかうほうが好きです
若いことを踏み潰した、地続きの傷
なぞると忘れた横顔に似たきり、
痛みにしがみつくことなく
目を閉じます
白い配りもの、光って、子に散る声
だれもいない孤独
そのかくしきれない時間を
口にもせず、ひとつひとつ拾いなおす
沈黙が聞こえてしまうと、
死をたくされた顔もあちらこちらと
別の自由を呼び返す
別の束縛を呼び返す
ちょうど一口大の風を飲み込んだ
まったくの暗みに指はまわる
かえってこないものもさらうような
血の流れが、わたしをつかめず
思わず人をたたいてしまいます
呼んだらいけない季節の肉片も
たたかったあとのわたしの海
泳いでたどりつく、朝や花、夜や雨
全て立ちつくしたあとで
声をかけてほしい
名前をもたらすには足りない影が
わすれさられたものたちの
自由と束縛の正面を見始める
人は見始める