題名が思い浮かばない
こたきひろし

学校のノートや教科書の余白に
落書きみたいに書いていた文章

それをいつか誰かに
読んで貰いたいなんて思わなかった

それらは
俺の未熟な心の隙間から落ちこぼれた言葉
だからさ

人目に晒したくなんてなかったよ

中学校
中学生

昼休みの度に俺は図書室に避難した
そうさ
逃げ込んだんだ

クラスメートが怖くてさ
俺はコミュニューケーション能力に
著しく欠けていたからさ

そんなタイプの生徒が級友からどんな辛い目に会わせられるかなんて説明いらないよね

俺だってそんな時代を自分の歴史から削除したいよ
ワンクリックでさ

俺は読書好きと思われていたかな
文学少年と怖れられていたかな

そんな訳ないよな

虐められて
はぶかれている毎日だった

だけどさ
人の一生って不可思議なんだよな

何処をどうやって今に至ったのか
思い出せないんだよ

嫌な事は極力忘れて
良いことばかり思い出にしてきたんだよ

どんな風に生きたって
生きていたって

全ては泡と消えるんだって
老人になって
ひしひしと感じてきたら
全てが阿呆らしく思えて
クヨクヨと悩み苦しむなんて
止めたくなったんだ

人生は余白ばかり
そして時が来れば
全部白紙に戻るんだからさ




自由詩 題名が思い浮かばない Copyright こたきひろし 2020-08-01 08:15:13
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