球道無限
TAT
或いは
オブ・ザ・フットボール
或いは
万延元年のフットボール
或いは
1973年のピンボール
あらすじ
この町には人が空から降ってくる
この町の事を知りたければ
まずは紙を一枚
それと
ペンを一本用意して
紙に大きくバツ印を描けばいい
その交差する点に役場を置いて
線沿いにガソリンスタンドや
雑貨屋を適当に置けば
それでほぼ
この町の地図として通る
塵の芥の田舎町だ
そして
この町には人が空から降ってくる
俺達は ファイト・ザ・キッカーズ
町営のフットボールチームだ
と言っても
フットボールも
サッカーもしない
俺達の仕事は
空から降って来る人間を
オーバーヘッドキックで
空へ蹴り返す事だ
無論そんな事は
そもそも
成功する訳がない
だが重要なのは
諦めない事だ
挑み続けるのを
やめない事だ
或いは
Quidditch Through the Ages
この詩を2007年の文學界新人賞に捧ぐ
この詩を1986年の小学館漫画賞に捧ぐ