そんなこと言ってないで、さっさとやんなよ
道草次郎



何もかも全然なっていないなと思う
みんな自分よりずっと立派にやっているよ
ぼくが彼らの何を知っているというのか
彼らの生活と考えと家庭事情の何を知っているというのか
ぼくは本当にこのままじゃどんどんダメになりそうだ
もうダメになっているかも
周りの人はそれを知っているけど優しいから言わないだけかもしれない
ぼくは恥ずかしい思いをしたくなくて自分をずいぶん損なってきた
ぼくはこうして椅子に座って詩を書いてなんかいちゃいけないんだ
ぼくには生活があるし子供もいるし、奥さんは大変な思いをしているし
ぼくはきっと何人かの人から憎まれたり憐れまれたりしていると思う
全然なっていない
本を読んだ方がいい
求人誌を読んだ方がいい
図書館へ行くのはよして部屋の片付けしたり草刈りをした方がいい
やれることをやならきゃ
歌を歌ってもいい
突然電話がかかってきても焦らないような自分でいたい
ゆがんだものはしっかりさせていかなきゃ
テレビを見た方がいい
スマートフォンはなるべく控えなきゃいけない
うちわで扇いだりお米を研いだり漬物を切ったりした方がいい
薬はちゃんと飲んでやっぱりお礼は言わなきゃ
免許証のコピーをしてこなきゃ
必要なものだけを買おう
まず深呼吸をして
天気予報を確認したら
さあ動き出そう
なってない自分だけど
歩き出さないと
一つ一つあんまり先のことは考えず
立て直していこう
恥ずかしくないような生活をしていきたい
お金がほしい
いつか
日曜日の夕方でも
楽しそうに笑える父親になりたい
それが願い
もっとしっかりやっていかなきゃ
せっかく生まれてきたのに
もったいない
ゆっくりと呼吸をして
歩き出すのだ
自分



自由詩 そんなこと言ってないで、さっさとやんなよ Copyright 道草次郎 2020-07-25 11:06:33
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