hayasakaakira

「いただきM」
なにさアンタいただきますくらいちゃんといえないのかい
、とアニータは言う
日本人なのにアニータと名づけるような出鱈目な親が、23年前からいたということだ。この土地には。
「おいS」
なにさアンタ、おいしいならおいしいってちゃんといいなさい、
おいしいがおいCではなくておいSなのは、ユリちゃんがローマ字変換した頭文字で語尾を統一しているからだ。

転じて  

藤井は基本的につまらなかった。あさ起きて、シャワーを浴び、ちょっと考えてから、コップ一杯焼酎を飲んでみた。
で、そのまま出勤した。自分を試してみた。もちろんガムをたくさん噛んだ。口を開かないように頑張った。
で、結局ばれない。
つまんないやつ等だとおもって、昼飯をたくさん食ったら、酔い覚めがだるくて死にそうだった。

なにさアンタ、アタシ等せっかくの休みなのになんもしてないじゃん、漫画読んでるだけじゃん。
アニータはそういった、実際もう二日間適当に何か食うほかはゴロゴロしてるだけだ。ゴールデンウィークなのに。
「いいじゃん別に、アンちゃん、次」
そう言ってユリちゃんはバトンを受けるカッコをした。うつ伏せに寝転がったまま左手を挙げる。
その手のひらにアニータは次を与えた。
腹減ったといってアニータは出て行った。ユリちゃんはそのすきにマンコをいじった。

転じて

藤井はいましろたかしを読んでこわくなった。
でもこんな世界なら住んでみたいともおもった。

アニータことアンちゃんはお腹がいたかった。
ユリちゃんはひっきりなしに喋っていて、もう朝の3時なのに全然眠りそうもなかった
ちょっとうるさいユリだまって!というと一瞬だまるが、すぐにまた喋りだす
そうこうしているうちに5時になって。
生ぬるくて雨の降る朝に二人は一緒に生理になった

転じて

藤井は歩く
少し酔って、暖かいので傘はささないで歩く
朝になる前の最後の街灯の下で、赤く咲いていて
あれはなんだー?とゆらゆら近づいてみると
花みたいに咲きながら死んでるカエルだった
ガッカリしたしつまらなかった

バファリンを飲んでコンビニまでいく
まだ少しお腹が痛いし、二人分は無かった
仕方がないからアンちゃんが雨の中買いに出たのだ
それだけ。
むこうからゆらゆらした男が歩いてきて、普通に通り過ぎた
それだけ。
アンちゃんは振り返らないし、すぐにその男のことなんか忘れた
一方藤井はもうただ早く家に帰りたいだけだったし。


私たちはこんなふうに傷つくのです。
私たちはこんなふうに
私たちはこんなふうに、いつでも何かにとどきそうでとどかないのです。


自由詩 Copyright hayasakaakira 2005-04-14 11:35:12
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