惑いのなか
道草次郎
怒ってくれているうちが華だったのか
萎れたようにすぐ涙ぐんでしまうなら
ぼくらはもう終わりかもしれないのか
君の涙は所詮流れる水
心を殺してそう決めていたのか僕は
事実を真正面から直視できない僕がいただけなのか
君はなぜそんなふうにぼくによって傷つかなければならないのか
そんなふうに堪えた涙を眼にいっぱいためた君をぼくはなぜ抱きしめられなかったか
涙は女の武器
それが本当で君は存外ふてぶてしいならばどれだけいいだろう
本当にどれだけいいだろうかと思う
君はもう憎しみや怒りをぼくに送ってよこさないのか
君はもう疲れた動物のように動かなくなりやがては荒んだ瞳をもってしまうのか
ぼくが悪かったとそれを今更言ってももう遅いんだろうか
未練がましいと言ってどうか笑ってくれ
ぼくをこきおろして憎しみ貫いてくれ
ぼくは君の涙を見るのが本当につらいんだ
君を幸せにできなかったなら
君の笑顔を摘み取ってしまうのなら
君をどこかの街で孤独にしてしまうのなら
ぼくはこの先いったいなんの為に生きればいいんだろう