営みは、見えない。
ねこ(ki)
(また満たされなかった。寒い。)
雨だ
夏なのに寒い
こんな雨の日にぴったりの、
お話、
は、
朝、
電車に乗る
知らない人だらけだ。
どこに行っても。
変わらない。
私は君のこと、知らない。
顔も知らない。なにも知らない。
あーだれでもいい。
(と、言いながら、好きな生物の種類くらい、ある。)
笑いあって
泣き合って
手を取り合って
頬寄せ合って
慰めあって
愛し合って
褒めあって
好きだと言って
罵りあって
そうして
疲れるまで
朝まで
まさぐりあって
疲れ果てるまで
眠くなるまで
夢の中まで。
笑ってよ
泣いてよ
怒ってよ
嫌ってよ
愛してよ
殺してよ
死んでよ
生きてよ
何度も、何度も。
永遠に
飽きるまで
わかりきった起承転結の同じ物語を
永遠に、して。
安心できるね。楽しいね。
爪の先、指のささくれまで
君が私に大嫌いと言って踵を返して
髪がひるがえすとこの、その毛先の動き、
泣くときの君の呼吸の変な、リズムが、好き。
あのさあ、
こんなんじゃあ、満足しないんですよね。
だってさ、私君のことしか興味ないから。
私のことだけ見ててほしいから。
独白と間を、視界が、ふやけるまで、吸い尽くして、
次の言葉は、もう覚えたよ。
くすぐるように。
私の声に重ねてくるんでしょ。
ほら、ね。
(ねえ、次は、なにする?)