無機的
あおば



無機的に氷を叩く

カンカンいう音が
ガンガン鳴るのは
6石スーパーラジオ

フーマンダリアの犬を
踏み潰して
世界を唖然とさせた
痩せたダリアの花弁が
腹が空いた子供たちを
差別するのは
美しい人間界の掟

差別する世界は幸せだと
饅頭をかぶりつく子供たち
木登りが好きで
大人になっても降りたがらない
猿よりも身軽な女たちが
小型の核弾頭を隠し持ち
大樹の陰では
ふふふと笑いながら
フランダースの犬と
恋を語る図柄を織ってくれた

百円玉の恋など
食い厭きたと言うな
腹が空いても
剥き出しの
空き饅頭は
もう
拾えないよ



自由詩 無機的 Copyright あおば 2005-04-14 01:46:33
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