遠泳
ねこ(ki)

星屑のそれこそ屑だらけの海を泳いで
ようやく海から這い出たような
じんわり、と、重い。
私を裏返してでてきたものを
両手でかき集めて
ひとつひとつ灯の光に透かして見てみると
とてもきれいで、濁りのない、
向こうまで透き通って見えるじゃないか。
向こう側には、今。
確かに、つかめない。
光のように過ぎていった時が
夏の地面に砕け散った、ソーダ瓶のように。

手をかざすと光は真っ直ぐと伸びていって
真ん中で集まって突き刺そうと、
でも、まだ、その先までは、いけなくて。
ああ、生きてるんだな。と思う。

光に透かすと
たくさん置いて棄ててきた私と君が見えたので、
それを手のひらで集めて、熱がじりじりと真ん中を焦がすので
痛くて涙が出た。


自由詩 遠泳 Copyright ねこ(ki) 2020-07-13 23:49:07
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