いつかこの街を
こたきひろし

いつか街を出ていく
それはいつかわからない


いつか街を出ていく
この街を出ていく

遠いむかし
産まれ
育った
故郷を離れた日みたいに

いつか部屋を出ていく
この部屋を出ていく

この部屋を出ていったら
そこで一緒に暮らした人
そこで愛しあっていたのかも知れない人には
自分の抜け殻だけを遺していく

抜け殻は
やがて荼毘にふされ

一緒に暮らした人
愛し合ったかもしれない人の
記憶の頁の一葉のしおりになって挟まれるだろう

だけどしおりは風に飛ばされて
消えていく運命

いつかこの街を出ていく
いつかこの部屋を出ていく

いつかこの世界を出ていく

その日の為に
今日と言う日はあるんだ


自由詩 いつかこの街を Copyright こたきひろし 2020-07-13 21:41:12
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