夢の断捨離
アラガイs


虚無は底を打つ。殴りつけ罵倒しながらわたしはこの地を去って行く。蒐集家、乱暴な男。銭は底をつき廃墟に見送られ一人見知らぬ場所で客死するのだ。   etc.by 胡蝶(多児真晴)

使われない物は処分しなければならない、と思う矢先にまたしても通販で買ってしまっている。役者たちの誇大な演技にはついのせられてしまう。案の定届いた品物は役立たずで終わりそうな代物なのだ。
  新品が大量に埋もれた。おまえの溜め込んだ物は一体何処に向かうのだ。
そう夢の続きから呼びかけてくるのは明日を見た姫貝の殻。目が覚めると部屋の中を見渡している。夢で闘争した後には現実だけが覆い被さってくるのよ。思うだけなら幻よね。 そうだ!処分しよう。しなければならない。閉じた翅を拡げる。言葉は?そろそろ本気で目覚めなければ悔やまれるだけ。虚妄だ。  使い捨て、そう呼びかけた藁の案山子が毛虫に笑われた。現実を拾うのよ。夢を捨てたいのだ。
いま壁に大きく飾られてある絵。奥に仕舞われたままの絵画。何年も箪笥に眠るそして掛けたままの洋服。図柄/モノモノ物たち。本棚を見れば読まれることもなかった書物が数箱の中にも溜め込まれている(勿体ないことよのう)
もしわたしが居なくなればこの物たちはどうなるのか。焼かれるか捨てられるか売られるのか。跡継ぎも居なければ譲ろうという人間さえ見当もつかない。否、姫様は譲りたくはないのよ。などというという無念さが込み上げてくるのはやはり哀しい業には違いない。捨てられたのよ。物欲から逃れたいの。既に事足りる物。モノは要らない。腐臭偽物汚物壇。余分な言葉を捨てた流し台。健康が一番ね!あたまには。銭を懐へ貯めるんだ。そう願いながらも夢は追いかけてくる。 昨日いくら使った? 忘れた。(過ぎたるは及ばざるが如しの言)etc.etc.また明日になれば新しいモノ珍しいモノが世の中には出廻るらしいのだ。 買うの?買わないの?  スカボロフェア  余計なお世話だよ。                      by 蘭姫(多児真晴)










自由詩 夢の断捨離 Copyright アラガイs 2020-07-13 02:44:06
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