毒のある花
Lucy
毒があるんです そういって
その花は泣いた
拭っても洗い落としても
緑の茎を伝う紫の雫
花びらの裏側に
にじみ出てくる薄暗い素性
どうしても許せないという
戸惑い 悩み
毒などない振りをして咲いた
美しく清らに
朝露に光る蜘蛛の巣も
カマキリの鎌も
生きていくため
みんな誰かを傷つける
そういってまことしやかに笑うのは
猛毒の針を持つスズメバチ
花は自分の毒を
受け入れた
包み隠すことはやめよう
滴る雫をふり撒きながら
仰向いて
いくらかは自由になれた気がした
清らかなふりをしていた頃より
ほんの少し
鮮やかに咲いた
もう散ってしまう日の朝に