無題
道草次郎

「がんばってるがんばってるって、それは知ってるよ」


君はぼくに何度そう言っただろう

ぼくも
君も

お互いいっぱいいっぱいだった


けれど生きていくには

相手に甘えないとだめだった


弱いけれど

強くなることを見込んで

お互い相手にたくさんの投資をした

不良債権だけが残ったけれど



ぼくはぼくの目で君を見て

君は君の目でぼくを見た

それを入れ換えてみようとお互い何度したかわからない

けれどうまくいかなかった

判ったのはぼくがここにいる時

君はここにはいられないという事



君に失望される度にぼくのHPは減って

危険な赤色にまたたいた

残り1P

その期間が今思えば長過ぎた



電話をして電話に出てくれる人をうしなったぼくの生活は乱れた


ぼくは今、ほとけさまの事しか考えられない気がします

こんど、仏像を買おうと思ってる


仏像を買ったら貯金も尽きるよ

やっぱり
すべてを

でなければ
この哀しみそのものを

許してほしい


自由詩 無題 Copyright 道草次郎 2020-07-08 13:01:37
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