嘘つき
こたきひろし
誰かに読まれたくて
読んで褒めて貰いたくて
書き込みを
始めたんだけど
最近は情熱が冷めかかっていた
完全に冷めきってはいないから
灰の中で燻り続けている火の種に
何とか油を搾り垂らして
こうして書き込んでいる
少年時代は
ノートに鉛筆で書いてたんだけどさ
今は便利な物が出来てる
字がへたくそだったからさ
書いても人様に見せられるようなしろものじゃなかった
自分だけの秘密のノートにして
家族にも見せなかった
一人で遊んでばかりのネクラだったから
仲間も友だちも出来なかった
孤独な文学少年だったわけさ
独楽みたいにいつも一人ぼっちで
まわっていたんだよ
家族の中でも浮いた存在でさ
いったい何を考えてるのか
解らない子供だって母親に言われちまった
でもその言葉に傷ついたりもしなかったな
俺は母親を愛してなんかいなかったし
きっと母親も同じ気持ちに違いなかったと思うんだよね
でもそんな母子関係ってけして俺だけじゃないと思うんだ
当時の俺は自分しか愛してなんかいなかったし
自分の世界にひたすらとじ込もっていたんだ
マスターベーションみたいに
自分が気持ちよければそれでよかったんだよ
な
物事に熱中して本気になる事が出来なかったな
この先何を書けばいいか分からなくなってしまったから
ここでお仕舞い