いやだ百景
アラガイs


いやだ。いやだ。いやだ。
   梅雨はいやだ。 汗がいやだ。蒸し暑いからいやだ。  鬱陶しい髪もいやだしベタつく肌もいやだ。  
 枕もいやだね。 ベッドもいやだ。  畳は相当いやだ。まとわりつくもの全部いやだ。 
        寝つけないからいやだ。 
 小さな虫もいやだ。雑草に隠れるからいやだ。畑も田んぼも気になるからいやだ。泥がいやだ。殺虫剤もいやだ。 
夢もいやになる。うなされるのがいやだ。 金縛りが怖い。考えると止まらなくなる癖がいやになるからいやだ。
 薬も病気も健康に気を使うのもいやだ。 この街自体が俺はいやだ。暗渠だらけの道路がいやで、建物もいやなら工場の占領はもっといやだ。曇れば鼻をつく臭いがいやだ。海の香りを消し去ったのがいやだ。昼間騒々しいのもいやだし、日が落ちて急に静かになる通りの陰気さが一番いやになる。 
近所の住民も周囲を走る車もいやだ。買い物に来る客がいやだ。スーパーもコンビニもいやだ。カードがいやなら新しく引っ越して来た人間もいやだ。挨拶もなしに暮らすのはいいけど挨拶代わりの包みが無いのがいやなのだ。もちろんお金はいやじゃないし。
 ※「向かいの爺さん隣の婆さん袋詰めした顔で眺めてる。することもない。詰め物にされたこっちはへしゃり、ならゲートボールでもしろよ、おお、いやだいやだみんなといやだ。。しょっちゅうのろのろ運転おかげで苛々は罪ってたまらなくこれも逆迷惑だからいやだな。近くてそのまま遠けりゃいいものを強情な従兄弟の関係もいやだ。近づき過ぎるのは結果いやになるからいやだ。葬式だけの親戚関係もいやだ。最後は腸も煮え繰り返える喧嘩もいやだ。喧嘩しないで口も訊かなくなるのもいやだ。軟便を便秘もいやだ。糞もお味噌も後始末はいやだね。」   狭苦しい部屋から薄い壁も糞を撒き散らす小鳥も鳩もまる見えの物干し竿がいやだ。 歩けないからいやだ。いや歩きにくいからいやなんだ。わけのわからん自転車乗りがいやだ。五月蠅い子犬や夜泣きの野良猫覆面椅子も、花瓶にザラつく砂も蛙も草も羊もみんないやだいやだ。  あつかましい山がいやだ。汚された海もいやだ。眼に映るものすべてがいやなのだ。嗚呼、いやだいやだ、市長も議員も先生もお巡りさんも、この街に勤める会社員全員からおまえもあなたも君も僕も、あ、可愛い女の子はいやじゃないけどね。兎に角鷲と崇める光のすべてすべてがみんないやなのだ。
 それから続くのがいやかな?   だいたい昨日がいやだ。明日もいやだ。今日はもっといやだろう。 今頃になって眠気のくる自分がいやだし、寝起きの自分がいやでいやで仕方なくいやなのだ。どっこいしょもやだよ。あっち向きこっち向くもやだ。 あたまは下げても命令されるのがいやだ。歳を取るのも取らないのも大人から子供からお笑いにエロい女から、そもそもこの地上で生きて死ななければならないのがとてもいやらしい。
‥‥うう‥きりもない。百は無理だな‥数えるのがめんどくさい。否、詩とか書類とか、ああ、あ、溜息がいやだいやだ。 いやだ。‥‥
‥‥‥‥‥‥



自由詩 いやだ百景 Copyright アラガイs 2020-06-30 02:50:16
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