ダイジョウブ
もとこ
今日も真夜中の向こう側から
たくさんの「タスケテ」が届く
本気もあればウソもあって
見分けるのはむずかしい
だけどアタシはとりあえず
見つけた全部の「タスケテ」に
「ダイジョウブ」って返事する
何が「ダイジョウブ」なのか
自分でも良く分からないし
何の根拠もないのだけれど
ずっと前にアタシが壊れて
夜の底で溺れかけたとき
思わず入力した「タスケテ」に
会ったこともない人たちから
「ダイジョウブ」と返事が来た
それが当然だというみたいに
その時の感情の色や匂いを
アタシは上手く表現できないが
とにかく素晴らしいものだった
それだけは間違いないのだ
だからアタシは今夜もまた
「ダイジョウブ」を放流する
端末の数だけある孤独に
到達することを祈りながら