エゴ・エリスⅡ 従者の祈り
PAULA0125
其は虚慢に非ず 神より賜りし巨万の富。
見よ 見よ 見よ この恋人達を見よ。
麗しい愛の女神に捨て置かれ
馨しい花の女神に朽ち果てられ
尚も花実の生らぬ念いに 身焦がす我らに
鎚を振るうてみよ 神槌でもって打ち砕こう。
鑓を投げてみよ 神鑓でもって打ち払おう。
みよ みよ みよ この恋人達を撃ってみよ。
さすれば忽ち 己が身は神と為らん。
みよ みよ みよ 三代に教え 諭してみよ。
我らを裁く神を育ててみよ。
三千代のうちに その神は己が孫子孫を撃とう。
秩序に愛されし恋人達よ 無秩序と共に在れ
社会が示す光源よ 死の勝利者の恵みを導け
いのちある全てのものは その乳房を吸わせよ
愛ある全てのものは 夫を護れ
花嫁ある全てのものは 手を引き 花園へ連れ
その薬指に 鈴蘭の花で作った 指輪を通せ
その時全ての恋人達は 等しく試練を乗り越え
神の御代が続く限り 栄えるであろう
みよ みよ みよ その二人をみよ
最早彼等は恋人ではなく 一対の枝である
命の有無 体の凹凸 霊の所有
全ては無に帰し 水泡となる
泡沫の夢を越え 実る全てに 神の威光をみよ
即ち
何人たりとも 汝らの愛を侮辱すること能わず。
我は汝なりき 汝は我にならむ。
然るにこの愛は 汝と読者のものなりや。
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叙情詩「エゴ・エリスⅡ」