エゴ・エリスⅡ ああ 私の兄弟のようであったなら
PAULA0125

絢爛なりし 黄金と和紙の 観覧車
宙を回るる 風船の金魚
妙音振りまき 踊る鼓
胸乳の海を 泳ぎ渡らば
母のめぐみの ろ長調を
拾う耳翼じよくの 夢心地
隣り合う家族が いたのなら
きっと耳突く 泣き声も
聞こえることなく 一人勝ち

かあさまかあさま わたしのかあさま
愛くるしい私を 愛してください
柔らかな私の 心を守ってもらおう
か弱い私の 紅葉の手
守ってください 柔らかな頭蓋を

とうさまとうさま わたしのとうさま
かわいい私に 恋してください
和毛のような 髪を撫でてもらおう
か細い私の 潰れやすい背骨
わたしにください 丘陵のような その胸を

ねえさまねえさま わたしのねえさま
いとおしいその唇 わたしにください
私の笑顔を 呼び起こしてもらおう
花瓣=かべん}のような 掌で 白魚のような 指先で
歌って下さい 私の愛しさを

にいさまにいさま わたしのにいさま
優しい笑顔で 笑って下さい
壊れたおもちゃを 直してもらおう
ねじを回す 器用な指先で
作ってください 物語の欠片を

こっとんと しるくの海に
母が垂らした 白波に
父が与えた 大岩に
姉が歌った 御伽草子
兄が作った 欠片を使い

いつまでも私を 貴方たちの海の中で
ずっとずっと 育たない私で
我を通す 幼い貴族のままでいさせて
大きくならない 小さな小さな 私の手
握って愛して 離さないで
私を永遠に ここでいさせて

私は永遠の 子供の夢とろいめらい
不思議な琴の弦は 決して狂わない
永遠の幼子 愛さる天使
永久の貴婦人から生まれた 処女の奇跡
神の使わした 男の子の似姿 住まいは天の国


とこしへに私は 天のもの
穢れを知らぬ 罪の子ども
厠に行かず 乳を飲む子
父なる者らの 幻想すけるつぉ
ただ一つ私に 許されないのは 汚れること

あなたがたのために 幼子でいましょう
わたしのために 幼子でいましょう
母だけを 育む試練に追い落とそう
神は母だけを 救われる

神よデウス  祝福したまえベネディーカト 憐れなる我らオートネピフィリア


自由詩 エゴ・エリスⅡ ああ 私の兄弟のようであったなら Copyright PAULA0125 2020-06-17 01:20:30
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叙情詩「エゴ・エリスⅡ」