野球が大嫌いだ
TAT
俺は野球が嫌いだ
特に夏のナイターが嫌いだ
生理的に
吐き気がするほど
受け付けない
初見の散髪屋に行ったら
とりあえず店の親爺が
高校野球か
プロ野球ネタを
振ってくるぐらいの
がっしりした野球体型の
野球髪型なんだけどなw
でも嫌いなのは
思想的な
文系だからとか
体育会系じゃないからとか
そういうんじゃなくて
わざとそうしてる訳じゃなく
動物的な直感として
無理なんだ
要は離婚した父親が
野球バカで
俺にも仕込もうとしたりして
たらしいから
ちっちゃい頃から
薄着のランニングシャツの夜の記憶は
真夏のテレビのナイターで
それと同時に行われたらしい
母親への暴力とか
そういうのを
知らず知らずに
刷り込まれて
覚えている
それ系なんだろうと思う
野球は大体夏にやってて
俺は野球と夏が嫌いだ
兎に角
要するに
野球が嫌いだ
それと同じ文脈だろうと
思うのだけれど
四年前に
呉で
人狼会に参加してて
対面人狼してた夜に
五歳の男の子を救った事がある
救ったかどうかは分からない
ただ俺は俺の人生一個しか生きれないから
救ったんだと自分勝手に信じていたい
対面人狼というものは
基本
ダークな会だ
やってる事を客観的に見学してると
秘密宗教的な
フリーメイソン的な
薄ら暗い
闇の匂いがする会だ
もちろん参加者は皆
そんな事は分かっていて
そういう空気も愛しながら
同好会に参加するんだけれど
カードを配られて
静かに役職が読み上げられて
たった一人
顔を上げ
無言で
咬み殺す人間を指差して
から
再び目をつぶり
数十秒後には顔を上げ
何食わぬ顔で陽気に
場を回し
仲間を吊るし上げる
そういうゲームを
仕業を
リングサイドで
冷静に
観る用意も出来てない
子供の前でやる事が
どうしても出来なかったんだ
夜のターンで顔を上げた時
キョトンとした顔の
ユウトと
目が合って
あ
ダメだと
そう思った
人狼やるの大好きな人なんだけどな俺
そんな訳で
ユウトは
確か主催の女の子の
子供だったんだっけかな
を連れ出して
クレストでタコ焼き食べさせて
サメみたいな顔の
ソフトグライダー買ってやって
鼻面にプラスチックの
プロペラ刺して
組み立てて
お母さんが人狼終わるまでに
おじさんを倒さないと
ユウト死ぬぞゲームをやって
時間を潰した記憶がある
基本チキンだから
バシッと
その後ユウトを迎えに来た
主催の母親と
彼氏に
説教した
記憶は無いけれど
兎に角
俺は野球が嫌いだとか
人狼は子供向けじゃないとか
出来たら会の時は
こういう年頃の子供は
連れてくんなよとか
ゴニョゴニョと
相手の目を見ずに言った記憶はある
何が言いたいかというとまあ
俺は野球が嫌いなんだ