エゴ・エリスⅡ あの方が 私に口づけしてくださったらよいのに
PAULA0125
馨しいもの 此岸の破邪の 弓矢に似て
その瞳 映る銀河に 命なく
その耳は 己が愛の歌を 弾き奏で
その鼻筋は 谷間の百合より 透き通る
その舌は 我が名を 囁きこそすれ
その眼差 確かに我が心を射る にも関わらず
おお 憎らしきは 神の定めた この無法
触れれば虹が 我らを分かつ
虹が 我が頬に 洪の裁きを下させ
私は叫ぶ 私は呼ぶ 私は抗い叫ぶ
我が愛 我が愛 終ぞ吾の声 聞き給わずや
私は泣く 私は泣く 私はすすり泣く
我が愛 我が愛 終ぞ果て給わずや
煌々たる光 その燦めきが 私の硝子を砕く
耳を覆う温もり その偽りに 太鼓は破け
この舌は その名麗しく
果てまで叫び 喉は裂け
それでもその唇は 罪に汚れる事のない無花果
おお神よ あなたは言った 「悪を避けて暮らせ」
悪無き世界に 飽くなき憧れを抱く
それすらも罪だと 吊るし上げられ
そのように愛が 仕向けたとは 認めはせぬ
吁々 愛しきお前 その唇が 七色に光るなら
何故この硝子=びーだま}に映る虹は かくも美しいのか
この世にお前より 愛するものなどない
この世にお前ほど 愛せるものなどない
しかしてお前は 私を愛さず
その富も愛も全て ただ一人に差し出す
赦せぬ 赦せぬ 赦せぬ己を赦せ
許せ 許せ 神よ世界から 切り離し給え
お前の口付けは 七色の
けしてヒトの 為せぬ口付けの色
涙を流すとも叶わぬ その頬の濡れることは
その笑みは 慈悲深く 憐れみ深いが
その憐れみは 全ての人に
お前を愛する ただそれだけで 等しく皆に
お前が居なければ 生き甲斐はなく
お前を囲う為の 銀は堆く 私は届かずにいる
身を捧げ 心を尽して 時を費やして
それでもお前は 気高く孤独 その精神は鋼
沙翁を通して 言うところには 神よ
人は皆役者 この世は舞台 ならば神よ
我が愛する人は 役者ですら ないのだろうか
神よ 何故我が愛に 身体与えなんだか
その眼差しは青い光 その口付けは七色の虹
吐息の音はすれども 呼気の香りはせじ
愛し恋し 愛でれど愛でれど 意味はなく
愛の形は ただかみのみが計る
かみよ かみよ かみよ 聞き入れ給え
我が愛を 我が胸へ 届けたまえ
恒河よりも深く 我が愛を愛そう
恒河沙よりも 多くの愛を 謳おうぞ
だから どうか どうか
我が神 我が購い主
この愛は 世界の隔たりを越えるだろう
かみの懐より 我が愛を召し出したまえ
我が愛への祈り 聞き入れ給え 我が神よ
神よ 祝福したまえ 憐れなる我らを
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叙情詩「エゴ・エリスⅡ」